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BTSメインのコンテンツです。楽曲考察・感想・その他など。

FAKE LOVE 考察

このページは自分なりに聴き込んで、思ったことや考察したことをずらずら〜っと綴っていく記事です。

偉そうに語っている部分が多々ありますが、わたしは決して専門的な知識があるわけではありません。音楽や演出が個人的に大好きで色々感じながら考えているだけなのでご注意ください。

また、和訳はあくまで参考です。

 

 

お久しぶりです。

8割まとめてから全然整理できず、、ようやく更新・公開できるところにまで持ってこれました。

何が何でもMAP OF THE SOUL:7 の発売までには公開しなきゃ、、となった次第です。

 

このFAKE LOVEがI NEED Uから続くシリーズ楽曲ということは甚だ承知ですが、今回はそれには触れず、単純なひとつの楽曲として考察をしていきたいと思います(シリーズ楽曲としての考察はまたいつかの機会に)。

 

 

 

①楽曲全体

個人的には、サビのメロディーで終わらない曲(イントロなどと同じメロディで曲が終わる曲)がだいすきです。こういうタイプは起承転結がしっかり曲の中にある印象。

起承転結で表すとすれば、ふたつあると思っています。ひとつめは、「結」の部分がより強調される印象。一度この物語(楽曲の中のストーリー)が終わって次の物語が始まるような気もする。もうひとつは、「転」の部分が強調されている印象。まだ物語は終わっていないような感覚にも陥ります。つまり解釈が分かれるわけです。

そして、高音がデフォのBTSの楽曲の中ではかなり低いと思われる歌い出し。ここがまた演出がかっててステキ。歌い出しのテテのハスキーで低い声がたまりませんね…。そして普段高音パートばかりのグクの低音もレアでかなりすきです。

 

 

②歌詞

それでは先に、和訳です。

 

 

君のためなら僕は

悲しくても嬉しいふりができた

君のためなら僕は

辛くても平気なふりができた

愛が愛だけで完璧であるように

僕の弱さは全て隠せるように

叶うことのない夢の中で

咲くことのない花を咲かせた

 

うんざりしているんだ この偽りの愛に

残念だけどこれは偽りの愛なんだ

 

いい男になりたいんだ ただ君のために

世界をあげたんだ ただ君のために

全部変えたんだ ただ君のために

今は自分のこともわからない お前は誰だ?

 

俺たちだけの森 君はいなかった

辿ってきたルート 忘れてしまった

俺も俺が誰だったかさえわからなくなった

鏡に問いかけてみる お前は一体誰だ?

 

君のためなら僕は

悲しくても嬉しいふりができた

君のためなら僕は

辛くても平気なふりができた

愛が愛だけで完璧であるように

僕の弱さは全て隠せるように

叶うことのない夢の中で

咲くことのない花を咲かせた

 

君をすごく愛しているんだ

君のため綺麗な嘘を作り上げる

愛なんて馬鹿げてる

自分を消して君の人形になろうとした

君をすごく愛しているんだ

君のため綺麗な嘘を作り上げる

愛なんて馬鹿げてる

自分を消して君の人形になろうとした

 

うんざりしているんだ この偽りの愛に

残念だけどこれは偽りの愛なんだ

 

どうして泣いているんだ

わからない 俺にはわからない

笑って愛してるって言ってくれよ

俺を見て 俺さえも捨ててしまった俺を

君さえ理解することもできない俺を

 

「見慣れないね」(って言うんだ)

“君が好きな俺”に変わった“俺”が

「違う」(って言うんだ)

“昔君がよく知っていた俺”じゃないって

何が違うっていうんだ

俺は何も見えなくなった

何が愛だっていうんだ

全部偽物じゃないか

 

Woo 何故なのか僕にはわからない

Woo 僕も僕がわからない

Woo だけどこれだけは知っているんだ

全部偽りの愛のせいだってことは

 

君をすごく愛しているんだ

君のため綺麗な嘘を作り上げる

愛なんて馬鹿げてる

自分を消して君の人形になろうとした

君をすごく愛しているんだ

君のため綺麗な嘘を作り上げる

愛なんて馬鹿げてる

自分を消して君の人形になろうとした

 

うんざりしているんだ この偽りの愛に

残念だけどこれは偽りの愛なんだ

 

君のためなら僕は

悲しくても嬉しいふりができた

君のためなら僕は

辛くても平気なふりができた

愛が愛だけで完璧であるように

僕の弱さは全て隠せるように

叶うことのない夢の中で

咲くことのない花を咲かせた

 

 

***

 

③歌詞の考察

ではここからは歌詞の話になります。

個人的には、曲の一発目の歌詞というのはかなり重要だと思ってるのですが…。

 

 

「君のためなら僕は悲しくても嬉しいふりができた
君のためなら僕は辛くても平気なふりができた」

 

ここの時点で、タイトルである「FAKE LOVE」に納得がいくんです。この歌の主人公は、君のためなら嘘をつける、ということを言っている。つまり、「FAKE=偽り」なんです。

歌い始めでタイトルと結びつく曲は本当にすごい。タイトルをそのまま言うわけでもないのに曲の雰囲気を感じ取れるというのはすごい曲なのでは、、。

 

 

「愛が愛だけで完璧であるように

僕の弱さは全て隠せるように」

 

ここも完全に『偽り』を描写していますよね。

『完璧』を演じているだけの偽りの自分をここでは描写していて、

 

 

「叶うことのない夢の中で咲くことのない花を育てた」

 

極め付けのように、現実には絶対に起こり得ない歌詞で『これがまぎれもなく偽りである』ことを強調しているように見えます。

冒頭のあたりで申し上げましたが、普段は高音が武器のBTSが低い音から歌い始めるのはそんなに多くありません。はっきり言って、女性が出るかわからないくらいの低い音域はあまりないかなと思います。それに、テテは元々パートも低めですがグクは高音が多いですし、どう考えても意図があってこのようにしたとしか考えられない。

高い音はどうしても『歌声』ですが、低い音は『地声』つまり『呟き』を彷彿とさせるのではないかという考察。初めの歌詞は『自分が真実を偽っている』という独白であり、『真実』を語っているからこそ、独り言のような、呟きのような描写なのでは?という感じです。

 

 

「I'm so sick of this Fake Love」

「I'm sorry but it's Fake Love」

 

“うんざりしているんだ この偽りの愛に

残念だけどこれは偽りの愛なんだ”というセリフ

両極端なセリフも対照的で印象的。

うんざりしているのにやめられない。まるで終わりのない迷路に迷い込んだみたいな感じを受けます。

 

 

「いい男になりたいんだ ただ君のために

世界をあげたんだ ただ君のために

全部変えたんだ ただ君のために

今は自分のこともわからない お前は誰だ?」

 

君のためだけに身を削った結果、自分のことも偽ってしまって、偽りすぎて本当の自分のことがわからなくなってしまったという悲しい「今」の話をしている という風に読みました。

ここはポツポツ呟いているイメージです。RMのちょっと控えめに強く呟いた言葉に、グクの「君のためだけに」がじくりと胸を刺す感じがします。

 

 

「俺たちだけの森 君はいなかった

辿ってきたルート 忘れてしまった

俺も俺が誰だったかさえわからなくなった

鏡に問いかけてみる お前は一体誰だ?」

 

このホソクのパートはRM&JUNGKOOKパートとリンクしていて、今の自分の状況を自分自身で確認している状態のように見えます。

そして、追加で入ってきた情報は、『君はいなかった』です。君のためにいろんなことを偽ってきたのに、そのせいで自分は自分のことさえ分からなくなってしまったのに、ふと我に帰ると隣に君はいなかった。そのせいかどうやってここにたどり着いたのかも忘れてしまった、という意味。無我夢中で君のために尽くしてきたからこそ、君がいなくて急に空虚になった自分に気づかされる、といった解釈をしました。

 

 

「君のためなら僕は

悲しくても嬉しいふりができた

君のためなら僕は

辛くても平気なふりができた

愛が愛だけで完璧であるように

僕の弱さは全て隠せるように

叶うことのない夢の中で

咲くことのない花を咲かせた」

 

ここは最初のパートと同じだけど、音程が高いし歌っているメンバーも違いますね。

最初のパートは、この曲を印象づけるための独白。ここのパートは、今、自分を見失った状態で、自分はどんな気持ちでこれまで歩んできたのかというのを強調する対比的な使われ方をしているように思います。

『君のために出来ることは何でもやってきた。俺は君のためなら何でも偽れたんだ、君のためなら何でもできたんだ』という、自分相手への気持ちをさらに強く印象付けるようなイメージ。相手から与えられる『愛』に縋り付いているようにも見えるけど、決してそれを表立って欲しているわけではないという複雑な心境が見えます。

 

 

「君をすごく愛しているんだ

君のため綺麗な嘘を作り上げる

愛なんて馬鹿げてる

自分を消して君の人形になろうとした」

 

君の人形っていうのは所謂操り人形、君の好きなように動かせる都合のいい存在のことだと思う。

『君のことをすごく愛してしまっているから、“綺麗な嘘(=真実としか疑いようのない偽り(フェイク))”だって作り出せてしまうんだ。自分なんか捨てて君の都合のいい人間になろうとしてしまうくらい、愛なんて馬鹿げているんだ』

こんな感じかな。愛なんて馬鹿げてる、なんて言う割に、この歌の主人公は愛にしがみついているんですよね。

 

 

「どうして泣いているんだ

わからない 俺にはわからない

笑って愛してるって言ってくれよ

俺を見て 俺さえも捨ててしまった俺を

君さえ理解することもできない俺を」

 

『君が悲しんでいる理由が何かすら見当もつかないけれど、笑って僕を愛してるって言ってほしい。こんな、自分で自分を捨ててしまうような、君のこともわかってあげられないようなどうしようもない奴だけど…。』

こんな感じ。ここで初めて、欲を彼女に吐き出すんです。これまではただ縋るだけだった主人公が、彼女に、愛を欲しがった。でも…。

 

 

「「見慣れないね」(って言うんだ)

“君が好きな俺”に変わった“俺”が

「違う」(って言うんだ)

“昔君がよく知っていた俺”じゃないって

何が違うっていうんだ

俺は何も見えなくなった

何が愛だっていうんだ

全部偽物じゃないか」

 

『君のために偽りの自分を作り上げたのに、それは君らしくないよって君が言うんだ。なんでそんな事を言うんだ、何が違うっていうんだ、僕は君の望んだ僕になったはずなのに。じゃあ、僕にはもう何も分からない。何が愛だっていうんだ?こんなの全部偽物じゃないか』

気持ちがとても一方通行で自分勝手で盲目、そんな印象を受けます。きっと『君』はそんな事を望んでいなかった。だけど『君』に盲目な『僕』は君が望んでいるだろう男になるために自分を偽ってしまった。なのに、『それは君じゃない』と、君のために作り上げたものを否定されてしまった。そして絶望の中、『こんなの偽物じゃないか』とヤケになってしまう…そんな感じでしょうか。望まれていると思って努力を積み重ねてきたら、それが全て意味のないものだったと気付かされた時の絶望感を示しています。

 

 

「Woo 何故なのか僕にはわからない

Woo 僕も僕がわからない

Woo だけどこれだけは知っているんだ

全部偽りの愛のせいだってことは」

 

“僕にはわからない、自分でも自分が分からない。だけどこれだけは知っているんだ…全部偽りの愛のせいなんだってことは”

今の自分がどうなっているのか、どういう立ち位置にいるのか、君が何を考えているのか、何もかもがわかっていない『僕』。ただ1つわかるのは、それが全部『偽り』のせいだってこと。

君の為に偽ってきたのに、それによって全てのことが理解できないほどめちゃくちゃになっている。全ては『君の為に偽ってきた』ことが原因なんだと、『僕』はここで気付きます。

 

 

だけど、

『君のことを苦しいくらい愛してしまっているんだ、君の為なら綺麗な嘘をつけるんだ、愛なんて馬鹿げているってわかっているのに、君の都合のいい男になろうとしてしまうんだ』

2回目のサビが、同じ歌詞でも全然違う意味に聞こえてきますよね。

1回目のサビよりも苦しくて、踠いて、それでも抜け出せないという気持ちを強く描写しています。もう戻れないところまで来ているんだという事をひしひしと感じさせます。

 

 

そして、

「君のためなら僕は

悲しくても嬉しいふりができた

君のためなら僕は

辛くても平気なふりができた

愛が愛だけで完璧であるように

僕の弱さは全て隠せるように

叶うことのない夢の中で

咲くことのない花を咲かせた」

 

最後のフレーズ。

ここまで読み込んでからこのフレーズを聞くと、『僕』の今の心情ではなく、『終わった話』のようにも聞こえるし、これほどまでにも苦しめられても未だに抜け出せない『まだ続いている話』のようにも捉えられます。

最初のこのフレーズは低音で、「独白」「真実を告げている」と言いました。次の時のフレーズは高音で、「自分を見失った状態で、自分の立ち位置を確認している」と言いました。今回、高音と低音が混じり合うハーモニーには、この2つの意味がどちらも込められているように思えてなりません。

 

 

こんな感じの歌詞の考察でした…。

こっからはダンスの話です。

 

 

④ダンス

 

この曲のすごいところは、ダンスの緩急がめちゃくちゃ激しいところだと思う。

まるで曲線を描くような柔らかでしなやかな振付では、ぽつりぽつりと自分の感情を控えめに表現していて(サビ以外のところですね)。動きが大きくなって、振りの途中で無理やり何かに引っかかったかのようにバッと動きが止まるところでは、自分の心にある想いを思い切り吐き出しているような感覚を抱きます。

 

さらに、

“I'm so sick of this Fake Love”

この部分、ジミンが歌っている時の他のメンバーの振付に注目してみると、

1回めでは手で目を覆い、2回めは手で耳を覆い、3回めは手で口を覆っているんです。

見ざる聞かざる言わざる、を示している振付です。いや、深すぎない????????目を背けて、聞こえないフリをして、口を開かないでいる、だなんて。自分の感情とは真逆に生きているような描写をする……。

 

そして、結構2人で対になったりペアになったりするダンスが多いですね。対やペアのメンバーに操られているようなダンスが多々見られるあたり、この曲のテーマの本質を彷彿とさせる…。

 

例えば、ホビのパートで鏡に向かって“お前は誰だ?”と問いかけるところでは、ホビが、鏡に映った自分(=グク)に向かって手をつき問いかけているような振りがあります。

「君のためなら僕は

悲しくても嬉しいふりができた」

ジミンのパートでは、ジミンを中心にメンバーが円になっていて、ジミンの手の動きに引っ張られるように動いている振りがあります。あれは『操られている』ということを視覚的に示したシーンです。ジミンがこう動け、と言えば素直に従うーー。この振りの中ではジミンが『君』で他のメンバーが『僕』。

サビでジミンが手を振り払う振付をする時は、他の6人は糸が切れたマリオネットのように床に落ちますよね。

こんな感じで、誰かと絡み合うダンスが多い=他の人たちとの関係性をよく表せているなと思います。終始、誰かに操られているような振りです。

 

そして最後のジミン&テテパート、グク&ジンパート。ここは本当にすごいので詳しく話させてほしい。上に記したわたしの解釈も合わせて読んでください。

ジミンとテヒョンは向かい合って、少し絡み合い、そして離れていきます。

グクとジンは1人でもがき、最後には絡み合います。けれど結局、掴まれたはずのグクの手は離れてしまい、ジンの手が1人残されています。

ジミンとテヒョンの振りでは、『2人の思いは重なったようで重なり合ってはいない、一度重なっただけのすれ違いである』ように見えます。いわゆる『僕』と『君』のすれ違いのことです。と思えば、『ジミンとテヒョンが重なり合った部分=偽りの愛』で、もうこんな愛はやめにしようということで『離れていく=この愛が終わる=過去になる』という意味にも捉えられます。

かと思えば、グクとジンの振りでは、『どうにかしてこのどうしようもない状態から抜け出したく』てもがく姿が見て取れます。そして、何とか思いを断ち切って抜け出せて、『本当の姿に戻った=気持ちと行動が一致した』のがジンとグクが重なるシーンになります。けれど、結局はそれも長く続かず……『やっぱりここから抜け出したくない』と行動することを諦めて(=グクがジンの手を振り切って下ろした手)、行動と気持ちが剥離しまだ自分は此処から抜け出せないでいる(=差し伸べたまま残ったジンの手)、それがグクとジンの手が離れていく振りの解釈なのかな、と1人で考えていました。

 

歌詞ひとつひとつに意味があるように、ダンスにも確実に意味がありますよね。そんなことを考えていたらこの曲にはもしかして永遠に続きがあるのではないか、とさえ思えてくるのです。

1人のダンスでも表現はできるけど、ここまで複雑な解釈ができるのは複数人がリンクした振りだからですね。うーん感服。ほんとに振り付けがめちゃくちゃかっこいいです。

 

 

⑤MV

あとは感心したMVです。

 

背景をまずうまく使っているなという感覚。

始まりのところでは、背景は白い石膏のようになっていて、メンバーたちが黒い影で表現されている。それが、照明の変化によって次第に表情が見えてくる。

かと思えば、最後ではまた、メンバーの表情が見えなくなっていく。

そこが先程楽曲のところでも申し上げた、起承転結につながっているような。曲の中に起承転結があるっていうのがすごいし、それを表現できてるMVっていうのがまた鳥肌モノでした。

 

 

 

本当は動画に解説をぺたぺた貼りたかったのですが、メインが歌詞の考察だったのでやめました。

こんな捉え方もあるのだな〜と、ARMYライフ、考察ライフのひとつの引き出しにしていただければ幸いです。

 

読んでくださりありがとうございました!

@bgyui97